April 24th, at WORLD ZONE, WORLD STAGE
対談者紹介
家族同然のペットにも健康でいてほしいという思いから、当時日本でほとんど認知されていなかった「オーガニック×ペット」という新たな分野を切り拓き、2010年にロアジスジャパンを立ち上げた。その評判は口コミで全国に、さらにアジアにも広がっている。
2007年より東京都動物愛護相談センターから犬猫うさぎなどの受け入れをはじめ、これまで約1000頭の動物を新しい家族に引き渡してきた。北参道でペットサロンとクリニック、保護施設がひとつになった「ミグノンプラン」を運営している。
動物にかかわる仕事がしたい。ただし、自分の価値観に合った仕事を。
お二人が今のお仕事を始めたきっかけは何だろう。
昔から動物に関わる仕事以外考えていなかったという友森さん。動物の専門学校に通い、美容と看護の資格を取得した。
「自分はペット業界のことを知らなさすぎる」と感じてペットショップでアルバイトをしたとき、そこで動物を「消費」する現実に違和感を覚えた。
だからこそ、動物に関わる仕事の中でも、人間の楽しみのためだけに動物を消費するのではない活動をしようと思ったのが、最初のきっかけだった。
岡田さんは、以前は教師として教育の現場にいた。教員時代に、動物が人と人とを結びつけるきっかけになる姿を見て、「人は動物に生かされている」と感じたのだそう。
そして、もともと好きだった動物に関わる仕事として起業したのが、日本初の「オーガニック×ナチュラル×ペット」を掛け合わせた、ロアジスジャパンだったのである。
ペット業界に必要なこととは。
日本のペット業界には、一体どのような課題があるのだろうか。
友森さん:「動物愛護団体はペット業界を攻撃しがちですが、実はその根源には自分の家族や友人など、身近な人がいることが多いんです」
ペットの飼育スペースや寿命まで考えずに、動物が飼いたいと思ったときに簡単に買えてしまう環境は変える必要がある。それと同時に、そうした飼い主への教育や啓蒙も進めていかなくてはいけない。
岡田さん:「ロアジスジャパンを立ち上げた2010年当時、日本では『オーガニック』はヒト用しかなく、ペットフードに関してはまだ整備されていませんでした」
ペット産業先進国のドイツやアメリカでは、動物の生体販売が禁止されている。生後間もない動物たちがライトに照らされ、狭いゲージの中で大勢の人に見られるというのは、日本のペットショップ固有のものだという。
これらの点で、日本のペット業界にはまだまだ改善の余地がある。
「オーガニックフードを選択する」ということの意味。
正直、オーガニックのペットフードは、他製品と比べて価格が高いが・・・
友森さんが15年ほど前に動物病院から独立した際、輸入のオーガニック系のフードを店頭に並べた。オーガニックフードは、当時のペットフードの相場の約5~6倍もしたが、お客様に勧めていくと「最近、確かに健康状態が良いかも」と信頼を得ることができていった。
それから5年ほど経って保護活動を始めたとき、「保護動物にオーガニックなんて贅沢だ」という批判も少なくなかった。しかしクリニックでは、オーガニックフードによる効果で動物の健康状態が良くなり、医療費が減ったことで結果的にコストも下がった。
オーガニックフードを選ぶ意味について、岡田さんからは次のようなお話もあった。
岡田さん:「私たちがオーガニックを選択できるようになったことで、その製品ができるまでのサステナビリティという点でもすごく意味があるんです」
適正な価格で良質な製品を買うということは、製品を「つくる人」も「えらぶ人」も幸せということ。そう考えると、オーガニックフードの価格は決して高いものではない。
動物と幸せに暮らせる未来をつくるために。
友森さん:「現在のペット業界は、消費のために過剰に動物を繁殖させて、大量に繁殖、大量に殺処分、ペットフードも低品質・低コストでの大量生産という流れになってしまっています。」
そのことにみんなが気付き、消費者から動いていくことで、業界も変わらざるを得なくなるだろう。
誰かや何かを責めるのではなく、実際に助けられる動物を増やすために今できることをする。友森さんらミグノンプランは、そういう活動をしている。
岡田さんは一昨年、一般社団法人オーガニックペットライフ協会を設立した。まだ知名度こそ高くないものの、この業界は変わっていけると希望を持っている。
岡田さん:「メーカーや業界だけが悪いのではなく、消費者である私たちにも問題があるのかもしれません。日本人は現実を知らないだけで、知れば変わると思います。」
「だからペット業界についての理解の普及のために協会をつくったのですが、忙しくてまだ十分な活動ができていません。小さな組織でやれることは限られているかもしれません。でも、できることはあります。」
多くの課題が見つかったペット業界だが、そこで働く多くの人たちは、そもそも動物が好きで入っている。だから、変わっていける。
岡田さん:「私たちは小さな会社です。アイディアはいっぱいある。ただ、リソースは限られている。どうすればいいんだ?だから、みなさんの力を借りたいんです。」
ペット産業の課題を他人事として考えるのか、自分事として考えるのか。いま問われているのは、私たち一般市民の意識なのかもしれない。
対談を通して感じたこと
お二人はきっと、きっかけがなければ、どこにでもいる動物好きの女性だったかもしれない。
ただ、お二人には「誰もやらないことは、まず自分がやろう」という行動力と責任感があった。そしてその信念が、情熱のある仲間や、良いものを良いと理解してくれる協力者を惹きつけてきたのだろう。
「変わる」ことを望むだけではなく、「変える」ために行動を起こす。ペット産業に限らず、未来に向けて私たちひとりひとりに対して向けられたメッセージのようにも感じられた。