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みやぎ登米農業協同組合本店・なかだ支店新築工事 地域材を活用したサスティナブルな木造建築

登米の農業と地域の「ヨリアイ」の場

農村に昔からある「寄り合い」を現代的に再解釈した「ヨリアイ」をコンセプトに、農業を通じて地域のコミュニティの場、JA 登米や登米の農業を発信する場をつくりました。

ヨリアイホールを中心に、見通しがよく互いに顔が見えることで、組合員・職員が交流や相談をしやすく「ほっとできる」地域の拠り所となります。

登米産杉の製材の組合せによる大規模架構の実現

大規模な建物を木造で実現するには、集成材(小さな木材を束ねて大きく長い材料にしたもの)を使うのが一般的ですが、この建物は集成材を使用せず、登米産(一部南三陸産)の杉の製材(丸太から切り出した無垢の木材)のみでつくられています。

太さや長さが限られている製材を、束ねたり・重ねる構法を用いて、大きな断面の「束ね柱」や「重ね梁」をつくりだすことで、大スパン(スパン=柱と柱の距離)を支える構造としています。柱と梁の付け根には「重ね肘木」と呼ぶ特徴的な部材が見られます。

これは日本の木造伝統工法に見られる「持ち送り」に似たもので、表面には「車知栓」と呼ばれる部材が打ち込まれ、力を伝達する役割を持ちます。

登米産の杉を使った「束ね柱」「重ね梁」「重ね肘木」の力強く美しい構造がこの建物を支え、空間全体を特徴づけるものとなっています。

力強い構造体と繊細な木ルーバーの対比
八角形の束ね柱と八方向にのびる重ね肘木
16mスパンを支える重ね肘木
地域に開かれた「ヨリアイ」の場として

地域産材の活用と森の循環を促す取組

ウッドショックの中、多くの木材、太く長い木材をどう確保するかが大きな課題でした。

みやぎ登米農業協同組合と登米市森林管理協議会が協定を結び、建設工事に先立って山から丸太を切り出すことで、地元の力で地場の木材を確保することができました。

登米産材、南三陸産材ともにFSC 認証を受けた森林を持ち、構造材・仕上材の90%にFSC 認証材を活用できたことで、管理された森の循環を促すことにも貢献しています。

大スパン・大規模木造建築を製材のみで、かつ地元の木材を使って実現することは、地場産材の活用の幅を広げ、CO2 排出量削減への寄与やコスト縮減など、木造建築の新たな可能性を拓く試みです。

今回の建設にあたっては地域材を積極的に活用するために、木材調達と施工を分ける“材工分離発注”を採用し、木材の供給元を登米市森林管理協議会とすることで、トレーサビリティを確保します。