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Transforming our wOrld ー今考えたい ポイ捨てゴミと地球の未来ー

初めに

みなさんは日本にどのくらいのポイ捨てゴミがあるか知っていますか?

実は、どれくらいのポイ捨てゴミがあるか、よく分かっていません。

その理由は、​​​​

・ポイ捨てゴミの調査をしていない市町村が約90%

・​​​​ポイ捨てゴミについての条例を制定している市町村は約60%

・看板の設置やパトロールなどをおこなった市町村は全体の7%程度

であるからです。

このデータから分かる通り、ポイ捨てゴミへの意識はほとんどの市町村でとても低いものとなっています。

この作品が少しでも市町村、そしてみなさん自身の意識を変えられるきっかけになりますように。

ペットボトルやタバコ、ビニール袋にマスク………。

おそらく多くの人がこうしたポイ捨てゴミを見かけた経験があると思いますが「どんな種類のゴミがどれくらいポイ捨てされているのか」はっきりと分かっていません。

そこで、ポイ捨てゴミの実態を明らかにするために、私たちは「実地調査」と「アンケート」を行いました!

現状分析

実地調査の結果!
先日、制作チームの数名で調査を行い、どんな種類のゴミがポイ捨てされているのかを調べました

プラスチック類や紙類、タバコが全体の約80%を占める結果となりました。

紙類としてはティッシュやガムの包み、プラスチック類ではお菓子の袋やレジ袋などのゴミが目立ちました。 タバコは、一箇所に集中して落ちていることが多く、同じ人物が定期的にポイ捨てをしているのではないかと考えられます。

アンケートの結果!

7月30日から8月22日までの期間中、Googleフォームや紙の調査票を用いて回答を集めました。

全国各地、160名を超える方々にご回答いただきました。

集計結果は以下のとおりです。

「普段通る道にポイ捨てゴミを見かける人」は、全体の約83%。見かけるゴミの上位には、タバコやペットボトルがランクインする結果となりました。

また「ポイ捨てを目撃したことのある人」は全体の過半数にのぼり、こちらもタバコやペットボトルが捨てられていたという回答が多くよせられました。

結果の考察

これらの結果から、ペットボトルやビニール袋などのプラスチック類、タバコのゴミが特に多いことが分かりました。

そこで今回私たちは、タバコとプラスチック類の2種類のゴミにフォーカスを当てて、ポイ捨てゴミを減らすためのアイデアを考えました。

ポイ捨てタバコ

まずは、タバコについてです。

そもそもポイ捨てタバコの数はどのくらいあるのでしょうか?

なんと、世界では毎年約6兆個のタバコの吸い殻が生まれ、そのうち4兆5000億個がポイ捨てされています。これを、フィルターの長さを3センチと仮定して一列に並べると、地球から土星までの距離に相当します。タバコは私たちの想像以上に膨大な数がポイ捨てされているのです。

では、タバコは環境にどのような悪影響を与えるのでしょうか?

アメリカにあるサンディエゴ州立大学の研究グループが発表した興味深い実験データがあります。1Lの水に2種類の魚を20匹入れ、

①タバコを吸う前のフィルターを加えるグループ

②タバコを吸った後のフィルターを加えるグループ

③タバコを吸った後のタバコ葉とフィルターを加えるグループ

④何も加えないグループ

に分類しました。

結果は、①②③いずれでも毒性が表れ、1L当たりの吸い殻の数が増えるほど生存率が悪くなりました。特に、タバコを吸う前の単なるフィルターでも毒性が表れたことには驚きを隠せません。

他にも、ドイツのベルリン工科大学など、たくさんの研究所でタバコが環境に悪影響を与えるという結果が出ています。

こうなればポイ捨てタバコを減らすしかありませんよね。

では、タバコを捨てさせないようにするにはどうすれば良いでしょうか?

私たちは2つのアイデアを紹介します。

さらに、タバコのフィルターはプラスチックで作られており、分解の過程でマイクロプラスチックとして猛威をふるうこともあります。

マイクロプラスチックは今世界中で関心を集めている環境問題です。

ということで、次はプラスチックゴミについて見ていきましょう。

プラスチックゴミ

1. なぜ海洋プラスチックが注目されるのか?

「海洋プラスチックゴミ問題」。

誰もが一度は聞いたことのある言葉だと思います。

なぜ、こんなにも海洋プラスチックゴミが問題視されるようになったのでしょうか?

諸説ありますが、きっかけの一つとされるのが2016年に開かれたダボス会議です。

この会議では

「2050年には海洋中のプラスチックの量が、魚の量以上に増加する」

ということが発表されました。この他にも亡くなったクジラの腹部から大量のビニール袋が出てきたり、海鳥の胃の中からマイクロプラスチックが検出されたりする事例が、相次いで起こりました。

これらの報告を受けて、

「マイクロプラスチックが魚介類の体内に蓄積されているため、魚介類を食べる人間の健康にも悪影響を及ぼしているのでは?」

と世界中で懸念され始めました。

2. マイクロプラスチックとは

マイクロプラスチックとは、紫外線によって劣化したり、波に砕かれたりして小片化・微細化していき、直径5ミリ 以下のサイズになったプラスチックの総称です。近年は、プラスチックの中でも重要視されています。

最初の被害は、1970年代前半に海鳥の胃の中からマイクロプラスチックが発見されたことです。原因はプランクトンとプラスチックとの区別がつかず誤飲・誤食したことによります。

それから50年ほど時が経った現在では、日本学術会議によると10匹中9匹の海鳥の胃の中からマイクロプラスチックが見つかっているそうです。

また海鳥以外では、ウミガメ・クジラ・魚・貝など200種類以上もの海洋生物が摂食しているとの発表も……。

さらに、マイクロプラスチックは海水に含まれる有害化学物質を吸収して生物に運んでしまいます。また、マイクロプラスチックを多く取り込んでいる生物ほど、有害物質を多量に含んでいることが分かっています。

3. プラスチックが地球に与える影響

プラスチックが地球に与える影響は大きく分けて4つあると考えます。

1. 生物分解が簡単にはできない

2. 燃やして捨てることが難しい

3. 食物連鎖に悪影響をもたらす

4. 経済的な影響がある

まず1つ目の「生物分解が簡単にはできない」についてです。ペットボトルなどのプラスチック製品は耐久性が高く設計されるため、自然環境下での生物分解が難しくなっています。つまり、ポイ捨てされたらずっとそこに残ることになります。

続いて2つ目の「燃やして捨てることが難しい」についてです。​​​​​​​​​​​​​​プラスチックは十分な温度で燃やさないとダイオキシンと呼ばれる有害物質が発生します。この物質は人間や動物の呼吸器官に悪影響をもたらすため、積極的に燃やすことが難しくなっています。日本では、その高温に耐えて完全燃焼させることができる施設の数がまだ足りていない状況です。

次に3つ目の「食物連鎖に悪影響をもたらす」についてです。

流れとしてはこうなります。

マイクロプラスチックをプランクトンが飲み込む→プランクトンを魚が食べる→その魚をさらに大きな魚やクジラが食べる→さらにそれらの魚を食べる人間にマイクロプラスチックがたまります。

あまり人間に対して目立った害はありませんが、人によっては体を壊してしまうので、一部の方々にとってはとても危険なものなのです。

最後に「経済的な影響がある」についてです。これは将来的な話になりますが、世界中に広がっている莫大な数量のプラスチックゴミを処理する、または、プラスチックゴミによって汚染された土壌や水をキレイにするには、非常に高額なコストが掛かります。さらに汚染が進むと、そこにすむ人々の健康が害され経済活動に悪影響が出たり、観光客が減少したりするなど、間接的な経済的損失を招いてしまいます。

上記の4つの理由から、プラスチックをポイ捨てしてはいけないということがお分かりいただけたかと思います。

では、プラスチックをポイ捨てさせないようにするにはどうすれば良いでしょうか?

下の動画でプラスチックゴミのポイ捨てを減らすためのアイデアを紹介していきます。

Column ~国際社会のプラスチック問題への対策~

G20サミットという毎年開催される、主要20カ国が参加する国際会議があります。

2019年6月28日、29日に開催されたG20大阪サミットで次のような首脳宣言がなされました。

それは「2050年までに海洋プラスチックゴミによる新たな汚染をゼロとすることを目指す『大阪ブルー・オーシャン・ビジョン』を共有し『G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組』を支持する」というものです。

「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」とは2017年に開催されたG20ハンブルクサミットで議決された枠組のことです。「海洋ゴミに対するG20行動計画」に沿った加盟国の自主的な行動の促進、ならびにそれに関する情報共有と情報更新を行うことで、上記計画の実施を進めるためのものです。

ちなみに「海洋ゴミに対するG20行動計画」には *マイクロビーズや使い捨てレジ袋の使用削減といった内容が盛り込まれています。

*マイクロビーズ・・・直径5ミリ以下のプラスチックのこと

終わりに

私たちは独自の調査の結果からタバコプラスチックの2種類のポイ捨てゴミに焦点をあて、それらが地球におよぼす影響や削減するためのアイデアを紹介してきました。

私たちが考えたアイデアは「システム」に関するものです。

今ある社会の仕組みに工夫を凝らすことでできる実現性が高いもの、それでいてこれまでになかったものを考えました。こうして社会自体がポイ捨てを許さないものに変容していくことはとても素晴らしいことです。

しかし、それ以上に「一人一人がポイ捨てゴミをしない」ことが大切であることは言うまでもありません。

この作品がたくさん人の目にとまり、一人でも多くの方がこの問題に関心を寄せられることを心から願っています。

そして近い将来、ゴミ1つ落ちていない美しい地球が訪れますように……。

BYEゴミプロジェクトN/S高チーム、SDGs環境問題同好会合同制作

参考文献

※1 「ポイ捨て」タバコが「飲料水を汚染」する? (Yahoo Japan)https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20190318-00118598

※2 海洋プラスチック問題の対策に有効な対処法とは?(株式会社折兼)https://www.orikane.co.jp/orikanelab/9534/

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